ジェイコム男 B・N・F さんの評判

ジェイコム男 B・N・F さんの評判

「日刊ゲンダイ」2005 年 12 月 23 日付より。

「完全に自信喪失です。“株の運用はプロにお任せ下さい”なんて言えなくなってしまったよ」

大手証券会社の営業担当者はこう言ってボヤいた。

株式市場は、日経平均が一時、1 万 6000 円台を回復。
大商いでにぎわっているが、市場とは対照的にすっかり元気をなくしてしまったのが証券マンだ。

理由は、20 代の若者 2 人のボロ儲けがプロの連中を直撃したのだ。

ある証券会社ではディーラーやファンドマネージャーといった運用のプロに対して役員のカミナリが落ちた。

その様子を目撃した社員がこう明かす。

「24 歳が 6 億円、27 歳の無職が 20 億円超もボロ儲けしたが、2 人とも証券会社で働いたこともないドシロウト。ところが、おまえらは毎日相場を張っているプロだろう。よく恥ずかしくないな。プロ中のプロの集まりなんてよくいうよ、とその役員はカンカンに怒っていた」

証券マンにはさらなるショックも待ち受けていた。
ある証券会社の幹部が 27 歳の無職の男性に会いに行ったのだ。
で、その場で言われたことを再現するとこうなる。

「株の本を読んでも相場はうまくならない。ムダです。水泳の本を読んで泳げるようになりますか。大事なのはセンスと実戦です」

これまでプロとして蓄積してきた自信が音を立てて崩れてしまった瞬間だ。

冬のボーナスが出て、忘年会もたけなわだが、証券マンはいまやグチのオンパレードだという。

入社 2 年目の 24 歳の営業担当者がいますが、あまりのショックに大落胆です。だって、彼の冬のボーナスは 30 万〜 40 万円。それが片や 6 億円。忘年会はキズのなめあいの場と化しています」(前出の営業担当者)

存在価値を否定された形のプロ連中にはなんとも師走の風は冷たい。

「デイトレのリアル!」(熊野 英生)の「デイトレーダーけものみち」(井上 トシユキ)より。

デイトレーダーが組織化されている?

本当に儲けているケースとされるのは、05 年 12 月のジェイコム誤発注事件で一躍有名になったハンドルネーム「FNB」氏だ。

ただ、FNB 氏は「AERA」誌の取材に答えて、「もうかっても、損しても精神的にかなりきつい。やっててつらいんです。1 回この世界に入ったら、何をしていても株で頭がいっぱいになる。やめたいのに、やめられない」(2006 年 1 月 29 日号)といい、著書を書くつもりはないと語る。

「それは本音だと思うね」というのは、前出の元ファンドマネージャーだ。

「逆にいえば、それほど集中しないと勝てないということ。彼はともかく、もう一人、ジェイコム誤発注で儲けた 20 代のトレーダーがいるだろう?あっちのほうは良くない噂を聞くね」

彼の言葉を頼りに取材を進めてみると、ジェイコム事件との関係は明らかではないが、次のような話が出てきた。

それは、経済ヤクザによって、組織化されている若いデイトレーダーが存在するというものだ。
本人たちは相手がヤクザだとは知らないケースも多いようだが、要するに、ネタ元を持ったデイトレーダーであり、情報や指示に従って売買を行い、確実に日々の儲けを出して上納する。

仕手集団というと古狸のイメージだが、すでに 20 年も前から経済ヤクザ化が進んでいることや、摘発された闇金において現場の担い手が若者たちだったことを考えれば、あながちないことともいえない。

真偽のほどはともかく、デイトレードを含む短期や超短期のトレーディングの現場は、そんなことが真しやかに語られる世界でもあるのだ。

勝ち、あるいは儲けを出すには、何にせよリスクは背負わなければならない。
リスクを承知で鉄火場へ飛び込むのもよし、リスクを回避して安全運転を心がけるもよし。

それは、それぞれ一般のトレーダー自身が判断することである。

「デイトレのリアル!」(熊野 英生)の「株を本格的に始めてわずか 3 週間。私は退職を決意していた」(烏丸 智哉)より。

ジェイコム株男の不可解さ

ちょうどこの頃、あの有名なみずほ誤発注事件が起きた。
ジェイコム (2462) 株 1 株 61 万円売りのところを誤って、61 万株 1 円売りと誤発注したアレだ。

私はこのときは特にホールドしていた銘柄はなく、何の影響も受けない位置にいた。
だから、取引に関して特筆すべきことはないのだけれど、この事件をきっかけに 1 人の男が浮上した。

週刊誌などによると、その男はこの誤発注に真っ向から買い注文をぶつけ、ガンガン買いまくり、終わってみれば 1 人勝ち状態で約 20 億円儲けたとか。
そもそもすでに株で 100 億ぐらいの資産を築いていたようで……。

同じトレーダーとして頂点に立つような、目指すべきような存在ではある。
しかし一つだけ、疑問を感じざるを得ない点がある。
それはこのジェイコム株男の今後である。

余計なお世話であるのはわかっている。
けれど、130 億円以上を個人で稼いで一体どうする気なのだろう。

彼はどうも未だにトレードを続けているようで、勝ちを積もらせているようだ。
理解できない。
130 億だよ!?
これ以上、一体何が欲しいの。
これ以上取引を続けて何があるの、と問いたくなる。

個人のレベルで 130 億を 200 億にして、500 億にして、何か違いがあるのだろうか。
確かに取引が楽しいという感覚は私にもあるが、やはり私にとっての最終的な目的はお金である。

彼の目的は何だろうか。
これは手段を目的化している「釣り」と似ていないだろうか。
魚が欲しいのなら魚屋で買えばよい。

しかし、釣りはわざわざ遠出し、寒い思いをした上で、釣果は 0 匹なんてこともザラにある。
ということは、釣り人はみんな魚が欲しいなんて思っていない。
己の技能をもって「釣りたい!」。
ただそれだけなんだろう。

きっとジェイコム男もそんな感覚だろうと想像できるけれど……。

「誰かアイツに金の使い方教えてやれよ!」

そんな無意味に稼ぎ続ける彼は痛々しく見える。
贅の限りを尽くすような毎日を送ってくれたほうがよほど人間らしい。

「マネーのまぐまぐ!」2006 年 7 月 4 日付の「賢明なる個人投資家のための相場復習ノート」(木下 晃伸)より。

「誤発注」は誰の誤りか?ヒューマンエラーとシステムエラー

◎繰り返される誤発注

(前略)

誤発注といえば、昨年12月みずほ証券がジェイコム株で400億円を超える損失を出したことが思い出されます。みずほ証券はジェイコム株の上場初日に61万円で1株売る注文を出すところを、誤って1円で61万株売るよう入力。直後に取り消そうとしたが、東証の処理システムの欠陥で受け付けられず、大量の売買が成立。みずほ証券は巨額の損失を被った、というものです。

この誤発注によって大儲けしたのが、千葉県在住の個人投資家B・N・Fさん28歳です。彼は、2ちゃんねるの株式掲示板の有名人で、「先生」や「名人」と呼ばれていたようです。テレビ番組『ガイアの夜明け』やマネー誌『ダイヤモンド・ザイ』にも登場し、資産を160万円から130億円まで増やした個人投資家として一般にも広く知られるようになりました。

ダイエーで買った洋服に身を包み、バラエティ番組などを見る、一見すると「普通」の若者。自身のことを「単なるニート」と呼び、儲けたお金はほとんど使っていないとか。とはいえ、2億円の豪邸を買うなど、我々の「ほとんど使わない」とは大きな違いがあるようですが…。【ポイント1】

(中略)

◎誤発注で儲けることはできるのか?

ジェイコム株騒動の後、B・N・Fさんに弟子入りを希望する人もいるそうです。それもそのはず、たった10数分の間にこれだけ儲けたのであれば、その手法を知りたい、と考える投資家もいることでしょう。

ヒューマンエラーとシステムエラーが重なり、ギャップが生まれたところをすかさず儲けにつなげたという事実は、投資家の視点としては「凄い」の一言です。ただし、私たちが誤発注で狙って儲けるのは難しいと言わざるをえません。

確かに、B・N・Fさんのようにデイトレやスイングトレードを中心に利益を稼ぐ、というのも手です。日々画面に張り付き、何台ものパソコンを操ってギャップを見つける、というのは売買の醍醐味といえるかもしれません。

でも、それだけの時間を売買に費やせる投資家は少数派です。他に本業のある平均的な個人投資家にとって、投資に割く時間をさらに増やすのは骨の折れる作業でしょう。

投資は先が見えないことに賭けること。成功している人を参考にすることは大切ですが、それをそのまま真似ても同じように成功できるとは限りません。自分が信じている手法を用いなければ、あっという間に損失が積み重なってしまいます。【ポイント3】

≪マーケットが分かる!今日のポイント≫

【ポイント1】
色々と言われてはいますが、B・N・Fさんはすごい!100億円を超える資産を株式投資だけで築き上げたことには、見習うことが多いと思います。特に、5月中旬の急落相場では「様子見」を決め込んでいたそうで、素晴らしい相場観もお持ちのようです。否定的に見るのではなく、1つでも「参考にならないか?」と考えて彼から何かを学び取る姿勢が重要です。
例えば、短期トレードとはいいながらも大きな相場の流れを読みとる姿勢や、「違う」と思ったらすぐに引く姿勢などは学ぶべき点といえるでしょう。

(中略)

【ポイント3】
私が初めて株式投資をしていたときは、まさに短期売買。当時はインターネットなどもなく、証券会社の店頭に入り浸っていたものです。でも、ファンドマネジャーやアナリストを経験するうちに、短期売買は「自分に向いていない」と気づいたのです。実際に画面を見て、板を見ていると結構疲れます。デイトレやスイングトレードよりも、会社を調べ、会社を応援する気持ちで投資をする方が性に合っています。
人には向き不向きがあります。投資とは自分を見つめながら、自分にあった手法を確立していくことに他ならないのではないかな、と思います。みなさんはどうですか?

「臆病者のための株入門」(橘 玲)より。

寓話としてのジェイコム男

2005 年 12 月、東証マザーズに新規上場したジェイコムの株式を 61 万円で 1 株売却しようとした証券会社が、間違って 1 円で 61 万株の売り注文を出してしまった。
この誤発注で当の証券会社は約 400 億円の損失を被ったのだけれど、その一方で、この機を逃さず 20 億円を超える利益を手にした 27 歳無職の男性がいたことが話題を集めた。
のちに「ジェイコム男」と呼ばれるようになったこの男性は、マスコミの取材に、「学生時代にアルバイトで貯めた 160 万円あまりを元手に 5 年前から株式投資をはじめ、現在の資産は 100 億円くらい」とこたえている。
「資産」というのが投資総額なのか純利益なのかはわからないけど、もし 100 万円が 100 億円になったのなら、たった 5 年でお金が 1 万倍に増えたことになる。

いうまでもないけれど、これはものすごいことである。
どれほどすごいかというと、毎年資産が 10 倍に増えていかないと、100 万円は 5 年目に 100 億円にはならないのだ。
これを年利換算すると 900 % (!) の運用成績になる。
銀行預金の金利は年 0.001 % しかないのに。

この話を聞いたらだれだって、知りたいことはひとつしかないはずだ。

「いったいどうやったらそんなことができるの?」

ところが不思議なことに、「金融のプロ」と呼ばれるひとたちは、庶民のこの素朴な疑問にぜんぜんこたえてはくれない。
ふだんはあんなにエラそうにしゃべりまくってるくせに、急にうつむいて押し黙ってしまう。
なぜだろう?

それは彼らがジェイコム男氏(呼び捨てにするのは申し訳ないので、ちょっとヘンだが敬称をつける)の存在をこの世から抹消したいと願っているからだ。
だって、どうすれば 5 年間で資産を 1 万倍にできるかなんてだれも知らないのだから。
近所の小学生から、「プロのくせに無職のお兄ちゃんがやったことがなぜできないの?」と聞かれたらけっこう傷ついたりして。

でも、話はここで終わらない。

雑誌記事によれば、ジェイコム男氏は大学時代に株式トレードに興味を持つようになったものの、株価収益率 (PER) とか株価純資産倍率 (PBR) とかの、これまで株式投資に必須とされてきた経済的な知識にはまったく興味がないという。
そればかりか、売買している会社がなにをしているのかもよく知らないらしい。
株価の動きを見ながら頻繁に売買を繰り返すデイトレードやスイングトレードと呼ばれる手法では、そうした知識はなんの役にも立たないからだ。

これは、じつによくできた寓話だ。

「株のプロ」っていったいなんだ?

(前略)

20 代無職の男性が「金融のプロ」を天文学的なレベルで上回る成績をあげたということは、株がプロの競技ではなく、コイン投げやサイコロにちかい偶然のゲーム、すなわちギャンブルであることを、反論の余地がないほど完璧に証明しているのだ。

もし株がコイン投げと同じなら、「金融のプロ」はよくて占い師か競馬の予想屋、悪くすればイカサマ野郎ということになる。
これは、じつに具合の悪い話である。
ギョーカイのなかに「ジェイコム男は無視しとこう」という暗黙の了解ができたのは、これまで世間にひた隠しにしてきた自分たちの暗い出自が白日のもとにさらされそうになったからなんじゃないだろうか。

(後略)

複利とレバレッジの話

(前略)

ジェイコム男氏がひと並みはずれた能力(超能力とか)を持っているとしよう。
これはとてもわかりやすい説明だけど、実際にはなんの役にも立たない。
仮にそれがどのような能力か解明できたとしても、私たちがそのちからを身につけることはできないからだ(だって人間離れした能力なのだから)。

あるいは、ジェイコム男氏は 8 割から 9 割の高い確率で株価の動向を的中させる秘密の方法を見つけたのかもしれない。
こちらのほうがありそうだけど、それが事実だとしても、彼がなにかの理由で(もうこれ以上お金いらなくなったとか)その秘密を公開しようと思わないかぎり、私たちが真実を知ることはできない。
もしだれかがジェイコム男氏の秘密に気づいたとしても、彼はそれを利用して自分だけが金持ちになろうとするだろうから、あいかわらず私たちはなにもわからないままだ。

(後略)

市場には魔法使いが住んでいる

ジェイコム株の誤発注で 20 億円の利益を得た男性が現われたとき、彼の年齢と肩書きが世間の注目を集めた。
でもそれは、ほんとうは驚くようなことじゃなくて、逆に「27 歳無職」でなければこの話は辻褄が会わないのだ。

失うものがないからこそ、大きなリスクがとれる。
言い方は悪いけど、成功するトレーダーは、いつの時代も、パチンコ屋の前で行列しているような若者たちのなかから現われるのだ。
何千万円ものボーナスを受け取っている「金融のプロ」が、失敗すれば首が飛ぶようなリスクを冒すはずがないではないか。

(後略)

「日経ネット PLUS」の「日本人とおカネ」(取材班・山本 由里)より。

通称「BNF」くん、29歳。資産170億円、でも……

今回の企画で「お金持ちの悩み」を担当した自分。
色々なお金持ちに会った。
なかでも最もリッチな彼はまだ29歳。
そしてその資産額は、なんと170億円……。

「その男」は東京タワーがきらめく夜景を間近に眺める超高層マンションのペントハウスにいた。
通称「BNF」。
みずほ証券がジェイコム株を誤発注した2005年12月の1日で20億円の利益をあげて一躍注目を浴びたネット投資家だ。

株式投資を始めたのは大学在学中。
「軽い気持ちで」バイトなどでためた160万円で開始した。
それがわずか6年で1万倍に……。
「人生が変わった」。
170億円もある人生なんて、そりゃ変わるでしょ、と思いながら話を聞く。

ところがその人生は「バラ色」でも「黄金色」でもなかった。
生活はストイックそのもの。
旅行にも行かず、車や服などに大金をはたくこともない。
高いものを食べるのは「苦痛」。

市場が開いている限りパソコンの前から離れず、夜は取引に失敗する夢にうなされ、起きるとまず米国市場の動向をチェック。
サブプライムローンの影響で「最近は朝、米国市場を見るのが怖い。
朝から、うわーこれで1億の損、と思うとホントにキツい」。

「1億円か。でも170億分の1億だし。別にいいのでは……」と、だんだんこちらのお金感覚がマヒしてくる。
だが彼は真剣そのもの「キツイ」、「つらい」を連発する。
「精神的余裕がない。自分でもお金の奴隷なんだと思う」。
例えて言えば賞金より記録を追い求める、アスリートのようなモノか……。

凡人には全く理解不能な彼の悩み。
それでも巨額のお金がもたらす「つらさ」はヒシヒシと伝わってきた。
結局、お金というものは、ためるのも大変だが、使うのはもっともっと難しい。
「BNFくん、君はまだ若い。今後はお金の使い方が君の生き方、そして人生の軌跡になるのだよ」。
そう心の中でつぶやいて記者は彼のペントハウスを後にした。

2008 年 1 月 30 日付オーマイニュース対談「森永卓郎×倉田真由美 (2)」の「『株を持つだけで権力者』って世の中おかしくない?」より。

オヤジはデイトレーディングで勝てない!

倉田 ヒトは有能だからお金稼ぐってもんじゃないですよね。私も、たまにお金持ちと会うことあるんですけれど、ただ何かちょっとこぎれいだったり、運が良かったり、そういうことですよね。少し前に評判になった、みずほ証券の誤発注で20億円儲けた人に会ったことがあるの。

森永 デイトレーダーの。

倉田 そう。2005年か06年に会ったんですが、その時点で80億円くらいの資産を持っていたの。

森永 ほお。

倉田 彼は2000年ごろに、資産300万円で始めたんですね。確かに、いろいろ目端が利いたり勉強したりしているんでしょうけれど、そんなに株に精通しているわけではないんですよ。

「精通する」という能力において、彼が普通の人とそう変わる訳ではない。喫茶店で水を運んだり、工場でネジを作ったりする人の能力と差があるかといえば、稼ぐ金額分の差はとてもない。おかしいですよね。そういう(デイトレーディングのような)ことにだけお金が集まるシステムって。水運ぶ人がいくらの時給で働いているかを考えたら、もう、なんでそんなことになっているのか。

森永 長期だと時価総額が膨れていくので(多くの人が良い)利回りを取れるんですが、短期のデイトレーディングで金を稼ぐというのは、麻雀と同じで、ゼロサムなんです。もうかっている人がいれば、その裏に損している人がいるんですよ。

ある株がもうかるというは、2パターンあるんです。まともな経済では、何十年もその株を持って、そのうちに企業が成長して株価が上がり、配当がもらえるというものですね。ところがデイトレーディングでは、「反射神経」と「思い切り」のある人が勝っている。

倉田 ゲームなんですね。

森永 しかもオヤジが勝てない。

倉田 若い人ばっかりですよね。

森永 私も、短期で3億円稼いだ人に話を聞いたことあるんですけど、彼らはパソコンを2台構えて、片方で発注し、もう片方で情報を見たりしている。板情報といって、いくらでどれだけの売り買い注文が出ているかを見ているんですが、だまし合いなんですよ。嘘の情報が書かれている。「あ、だまされた」と思って、じゃあこうだろう、とやると、それが嘘じゃなかったり。

倉田 へええ、そういう世界なんだ。

森永 「あ、だまされた」と思った瞬間に、いま1000万円で買った株を1秒後に損切り出来ないと、負けちゃうんです。だから0コンマ数秒の世界。

倉田 無理じゃないですか、オヤジには!

森永 無理なんです。私ね、『クイズ・ミリオネア』(フジ系)という番組に出たことがあるんですが、これは予選の早押し並べ替えクイズで、「A、B、C!」なんて風に順番に並べるんです。見て分かるんですよ答えは。でも、手が着いていかないんです。

倉田 なるほどね、スピードで負けちゃうんだ!

森永 そう、それで若者に予選で負けちゃうんです。(デイトレーダーというのは)それが出来る人。しかも1000万円で買った株をすぐに売らなきゃいけない冷徹な心。(ものごとに執着して)引っ張らない。

倉田 「この1000万円が〜!!」みたいな。

森永 未練たらしい奴は勝てないんですよ。私は絶対勝てない。たとえば、好きだった子にいつまでも未練持つようなタイプは勝てないですね。

倉田 私はそうですね。

森永 そうなんだ。くらたまさんは結構、バッサリ切ってるイメージです。

倉田 私は、一度好きになると墓場まで持って行っちゃうタイプです。

森永 女の人って、その辺(の未練)はないと思っていたけれど。

倉田 そういう人もいます。私もあんまり好きでなかった人なら、バッサリいきますけれど、本当に好きになっちゃうと何十年も。

森永 じゃあ無理だ。

倉田 反射神経も鈍いし。そうか、だから(デイトレーダーには)若い男が多いんだ。

森永 20代のうちに勝って30代で引退。でも、そうやって右から左へお金を動かし、数日のうちに巨万の富を築くというのが正しい生き方かといえば、私はそう思わない。

「Business Media 誠」の「フィナンシャルリッチに聞く、金融商品の考え方」(フィナンシャルリッチ特集取材班)より。

ケース1:スゴ腕株式ディーラーの場合

藤川将太氏(31歳、仮名)は現在、中堅の証券会社で株式ディーラーを務めている。
顧客から預かった株を売買して、利益を生み出す職業だ。
東証1部上場の株式を運用する藤川さんは、1カ月に約5億円の売買を行う。
相場の動きを見ながら瞬時の判断で資金を動かす株式ディーラーは、金融知識はもちろんのこと強い精神力が必要となる。

生き馬の目を抜く世界で活躍する藤川氏は、月に3000〜5000万円の運用益を出している。
株式ディーラーの世界では3カ月マイナスが続くと、たとえ“伝説”と呼ばれようが、“カリスマ”であろうが、即刻クビになる。
これまで藤川氏は1度のマイナスもなく、2007年の年収は5000万円、金融資産は2億円を超えるという実力派だ。

話は少し脇道にそれるが、2005年に上場した総合人材会社「ジェイコム」の株式において、みずほ証券はジェイコム株を大量に誤発注、このためジェイコムの株価が急落するという“事件”があったことを覚えているだろうか。
みずほ証券はすぐに事態の収拾に当たったものの、一時的に取り引きが成立しなくなった。
このわずか10分程度の間に約20億円を稼いだことから、一躍有名になった個人投資家がいる。
ハンドル名「B・N・F」――マスコミでの通称「ジェイコム男」。
現在B・N・Fの金融資産は約200億円に達しているとみられ、個人投資家の間では“カリスマ”的な存在になっているが、藤川氏の見方は違う。

「B・N・Fは単に運が良かっただけ。 株式ディーラーとの“一騎打ち勝負”になれば、必ずB・N・Fは負けていたよ」と藤川氏は断言する。
他のディーラーも同じ意見で、中には「藤川さんと勝負すれば、B・N・Fは100%勝てない」(大手証券会社・株式ディーラー)と藤川氏の名前を挙げる人もいる。
それほど業界で実力が知れ渡っている人物なのだ。

赤字の部分はその後、以下のように加筆修正されました。

「B・N・Fは単に運が良かっただけ。金融資産200億円となった現在では、彼に勝つことは難しい。しかし資産規模が少なかった時点で、株式ディーラーとの“一騎打ち勝負”※をしていれば、B・N・Fは負けていた可能性が高い」と藤川氏は断言する。

※一騎打ち勝負:ある銘柄をめぐって、Aは「買い」続け、Bは「売り」続けたとする。その場合、資金力があるほうが儲かるケースが多い。

「ニュー・リッチの王国」(臼井 宥文)より。

ニュー・リッチの信じられない「下流ライフ」

デイトレ長者といえば、三村クンより有名なのが、「ジェイコム男」こと「BNF」氏 (29) だ。
2007 年暮れから 2008 年にかけてのサブプライム問題 issue of subprime lending による世界同時株安でも、この「BNF」氏は「無傷」で乗り切ったという。

2008 年 1 月 22 日、日経平均株価は前日比 752 円 89 銭安と大幅に下げた。
終値は 1 万 2573 円 05 銭安で、終値で 2 年 4 カ月ぶりに 1 万 3000 円を割り込んだ。

しかし、同氏は 21 日までにすべての保有株をいったん売却 sell out し、大暴落した 22 日は朝から 1 つも株を持っていない「ノーポジション」状態だったというのだ。
しかも、同氏は株価が乱高下 violent ups and downs をくり返した 2007 年度中に、資産を 30 億円増やして、総資産を 185 億円にしてしまったと、2008 年 1 月 23 日の『日刊スポーツ』は伝えていた。

この「BNF」氏も、三村クンも、ニュー・リッチであることは間違いない。
しかし、BNF 氏は超高級マンションを買ったのになぜか 6 畳の部屋で、カップめんを食べながら相場に張り付いているというし、三村クンも、高級マンションに引っ越したが、高価なものはなにも買わないで暮らしている。

なぜ、彼らは少しも富裕層らしくはないのだろうか?
ニュー・リッチのラグジュアリーなライフスタイルを取材しているのに、実際にこういう人たちがいると、ガクッときてしまう。

しかし、じつはデイトレ関係、IT 起業関係のニュー・リッチには、こういう人がいっぱいいるのだ。

「僕が 2 ちゃんねるを捨てた理由」(ひろゆき)より。

例えば 2009 年 1 月 8 日、韓国でミネルバというハンドルネームの人が逮捕されました。
彼は、韓国では“ネットの経済大統領”と呼ばれるほどの論客で、韓国のポータルサイト「Daum」の掲示板で、ウォンが下落するなどの経済予測を書き、その多くを的中させていました。
彼がネット上に書くことは、信憑性が高いだけに影響力が大きく、新聞や雑誌が追従するという構造にすらなっていたのです。
そんななか、彼が「政府が金融機関と大手企業へ米ドル買いを禁止した」という書き込みを行ったことで、市場には不安心理が広がってしまい、ウォン売り・ドル買い注文が殺到。
外国為替市場と国家信用度に影響を与えたとして、逮捕されてしまったのです。
ミネルバさんが捕まる前、「ミネルバは、もともとどこかの投資銀行にいた人物で、経済にくわしい人ではないか?」と韓国では言われていたのですが、蓋を開けてみると単なるニートだったのです。
彼は、友人の両親が経済危機で会社が倒産し自殺したことから、「経済はちゃんと勉強しなきゃいけない」と独学を続けてきたニートだったのです。
ジェイコム株などで大儲けをして秋葉原のビルを買った、ジェイコム男こと B・N・F さんも同じだと思うのですが、ニートという状況で一生懸命に調べものをして論理的に考えた結論を経済分野で発言している。
そして、その結論のとおりに実際経済が動いた。
それだけなのです。

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