ライブドア・ショックと株式分割

ライブドア・ショックと株式分割

2001 年 6 月成立 10 月施行の改正商法で、株式分割の際の純資産額規制が撤廃され、8 月には金融庁の「証券市場の構造改革プログラム」で、株式の投資単位の引下げが掲げられました。

東京証券取引所は 8 月に、最低投資単位を 50 万円未満にするよう上場企業に勧告を行い、50 万円以上の企業に対しては、引下げについての考えや今後の方針を決算発表時に示すことを求めました。

その結果、以下の表に示すように多くの企業が大型の株式分割を実施しています。

改正商法施行後、1 決算期に 5 分割以上の株式分割を行った企業
決算期 銘柄 分割比率 備考
2002 年度 アサヒプリテック 1 : 500 投資単位を 1 株から 100 株へ引上げ
アルチザネットワークス 1 : 10  
東宝 1 : 10  
2003 年度 エッジ(現・ライブドア) 1 : 10  
エン・ジャパン 1 : 2, 1 : 3  
あみやき亭 1 : 2, 1 : 3  
2004 年度 アドミラルシステム 1 : 3, 1 : 2  
ゼクー 1 : 100 2005 年破産
日本ベリサイン 1 : 4, 1 : 2  
テイクアンドギヴ・ニーズ 1 : 3, 1 : 10  
ネクシィーズ 1 : 5, 1 : 2  
メッツ 1 : 3, 1 : 5  
ライブドア 1 : 100, 1 : 10  
デザインエクスチェンジ 1 : 10  
ドリームテクノロジーズ 1 : 10  
プリヴェチューリッヒ
企業再生グループ
1 : 10  
アライドテレシスホールディングス 1 : 10  
エリアリンク 1 : 2, 1 : 4  
インボイス 1 : 11  
フルキャスト 1 : 3, 1 : 2  

バリュークリックジャパン(現・ライブドアマーケティング)の 1 : 100 の株式分割は 2005 年度の決算になるので、表には含まれていません。

また、ニューディールや松下電工インフォメーションシステムズは、それぞれ 1 : 1000, 1 : 200 の株式分割を行っていますが、投資単位を 1 株から 1000, 100 株へ引上げており、実質的には 1 : 1, 1 : 2 となるので省略しています。

2003 年 11 月 13 日に、ライブドアは 1 : 100 の株式分割(表の 2004 年度決算の最初の株式分割)を発表し、株価は 12 月 25 日から 2004 年 1 月 20 日まで 15 営業日連続ストップ高を記録しています。

大幅な株式分割を実施すると、分割分の新株が市場に流通するまで一時的に需給の歪みが生じます。

実際の新株発行には、株式分割の発表から 50 日前後を要するため、その期間は新株が存在せず流通する株式が極端に少なくなり、株価が急騰しやすくなるのです。

例として、以下の企業が株式分割を行う場合を考えます。

  • 株価 1000 円
  • 発行済株式数 1 億株
  • 3 月決算
  • 1 : 10 の株式分割

3 月末の理論株価は 100 円です。

しかし、2005 年までの現実では、新株の発行(効力発生)が 5 月 20 日頃になっており、約 50 日間は親株の 1 億株分しか市場で取引することができないため、100 円より高い株価になることが多くありました。

ライブドアは、株式分割による株価上昇を利用して、自社が出資する投資事業組合の持つ株を高値で売却していました。

2004 年夏に松井証券の松井 道夫社長は、ライブドアの株式 100 分割を「訳の分からない株式分割をする」「株価水準が利益から説明できないくらい高い」「地獄に落ちろですよ」と批判しました。

その後、2005 年 3 月に東証は一転して、大幅な株式分割は自粛するよう上場企業に要請し、1 : 5 を超える場合には以下などを示すことを求めました。

  • 分割目的
  • 分割後の配当方針
  • 目標とする株主増加数
  • 分割比率決定の根拠

2006 年に入ってからは、「50 日間の真空状態」は解消されています。

ソフトバングが 1 月 4 日に実施した 1 : 3 の株式分割では、新株の効力発生は翌 5 日で、株券を一括して管理する証券保管振替機構(ほふり)を利用していれば、株主の権利確定翌日から新株も売買することができました。

それにも関わらず、1 月 19 日に政府・与党は、「ライブドアの証券取引法違反事件の背景には、大幅な株式分割による株価の吊上げがあったため、法律で制限することを検討している」と的外れな発表をしたため、市場関係者を呆れさせました。

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